海の叡智を、人の未来へ。
大学・大学院時代、そして社会人となってからの年月を合わせると、約15年にわたり、ひたすら海に潜り、生物採集と観察の日々を送ってきました。
北海道から沖縄まで全国の海を巡り、そこで営まれる多様な生物たちの生態を調査する中で、
彼らが進化の過程で獲得してきた驚くべき能力を数多く目の当たりにしてきました。
広大な海の中で、わずか100μmほどのクラゲの幼生が、特定の共生相手である巻貝を微量な化学シグナルをたどって探し出し、着生・共生を始める。
柔らかな体を持つスポンジが、外敵から身を守るために、共生する微生物に強力な毒を生産させる。
そして、その“毒入りのスポンジ”をあえて捕食し、その毒を利用して自らの身を守る生物まで存在する――。
このように、海の中では、人間の想像をはるかに超えた生命の戦略が繰り広げられています。
私は長年の観察を通じて、海には“進化の叡智”が眠っていることを確信しました。
もし、この自然が育んだ能力を人間の暮らしに応用できたなら、どれほど素晴らしい未来を創り出せるだろう。
そんな想いから、2006年にオーピーバイオファクトリーを設立しました。
日本は世界第6位の海域面積を誇る海洋国家です。
この広大な海には、まだ解明されていない無数の生物資源が存在します。
陸域ではすでに医薬品、食品、化粧品、化成品などとして多くの生物資源が実用化されていますが、海洋資源の応用は、まさにこれからが本格的な挑戦の始まりです。
私たちオーピーバイオファクトリーは、この海に眠る生物資源を人類の生活に還元するため、研究・開発・商品化に取り組む企業や研究機関の皆様を支える存在でありたいと考えています。
生物資源を活かしたものづくりを通じて、人々の暮らしを豊かにし、社会に貢献してまいります。
おかげさまで、創業から20年を迎えようとしています。
これまで歩んでこられたのは、社内外の仲間、投資家の皆様、そして多くのお客様との出会いがあったからこそです。
心より感謝申し上げます。
これからも皆様のご期待に応えられるよう、
新しい挑戦を続け、海の可能性を社会へとつなげてまいります。
今後とも変わらぬご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。
代表取締役 金本 昭彦
2025年11月1日