スクリーニング

Pavlova MCT+にアルツハイマー病の原因と考えられている物質を作り出す酵素の阻害効果を確認しました。

沖縄県内で採集した海洋性微細藻類Pavlova sp. OPMS30543株を使用したサプリメントPavlova MCT+が、アルツハイマー病発症の原因と考えられているアミロイドβの生産に関わる酵素、βセクレターゼの働きを阻害することを確認しました。Pavlova MCT+はアルツハイマー病の予防等に寄与する可能性が示唆されました。
本研究成果は2022年10月17日から10月22日にかけて開催された第74回日本生物工学会大会にて報告しました。

当社では沖縄をメインフィールドとして微細藻類等、有用な生物資源の探索を行っています。近年、沖縄県北部の海域にて採取したPavlova sp. 30543株(以下パブロバ)が抗肥満作用を有するフコキサンチンや、中性脂肪低下作用を有するオメガ3脂肪酸であるEPAを多く含むことを見出し、パブロバの乾燥藻体とMCTオイルを使用したカプセルタイプのサプリメントPavlova MCT+を開発しました(図1)。今回、Pavlova MCT+の機能性を探索したところ、アルツハイマー病(Alzheimer’s Disease、AD)の予防効果等に寄与する可能性を示唆する成果が得られました。

図1. 微細藻ライブラリーより見出されたOPMS30543株とPavlova MCT+

認知症の一種であるADは、アミロイドβ(Aβ)と呼ばれるペプチドが脳内で生成され、それらが凝集体を形成することによって神経細胞に毒性を示すことで発症すると考えられています(図2、アミロイド仮説)。Aβはベータ (β) セクレターゼおよびガンマ (γ) セクレターゼの2種類の酵素の働きによって生成されます。したがって、これらの酵素の働きを阻害する効果がある物質や食品は脳内のAβ生成量を抑制し、アルツハイマー病の治療または予防につながることが期待されます。

図2. Aβの生成メカニズムとアミロイド仮説

本研究ではβセクレターゼに対するPavlova MCT+の効果を調べたところ、βセクレターゼの働きを阻害することを見出しました。一方でPavlova MCT+に含まれる主要な成分であるフコキサンチン、MCTオイルについても同様に試験を行ったところ、阻害効果は見られませんでした(図3)。したがってPavlova MCT+にはアルツハイマー病の予防効果が期待され、その有効成分はPavlova MCT+に含まれるフコキサンチン、MCTオイル以外の成分であると考えられます。
さらに、βセクレターゼ阻害作用に加えて、Pavlova MCT+は免疫に関わる遺伝子の活性化およびアレルギー発症のメカニズムに作用することを見出しました。今後、さらなる機能性の探索や、各種有効成分の同定、さらには作用メカニズムの解明を進めていくことで、科学的根拠に基づいた多機能性食品の開発につながると考えられます。


図3. Pavlova MCT+のβセクレターゼ阻害効果(サンプル濃度:0.1%≒0.5 mg/mL)
*縦軸は蛍光強度。βセクレターゼが機能すると蛍光を発する試験系を使用しており、この値が低いほどβセクレターゼの働きが阻害されている。


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